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トークイベントはエンターテイメントだ!大御所バンドのツアーに学ぶ、お勉強イベントをエンタメに変える方法論

8月から福岡天神で毎月トークイベントのホスト&企画をやっている。
明日(10/5)で三回目になるのだけれど、コンセプトもゲストもナイスでとても楽しい。

もともとのきっかけは、生協のブランディングのプロジェクト『COOP男子』。
デザインのリサーチの舞台裏を公開してしまうという不思議な企画だったのだけど、予想外の反響があり「リアルの場でもこういう話をしてほしい」という流れでイベントができてしまった。

・【COOP男子】イベントが福岡でスタート!コトバナプラス「自分が未来の種になる」

こういうイベントって一回だけやっても単なる打ち上げ花火になるので、一定期間継続してやるのが大事だと思っている。で、思うだけならカンタンなのだけど実際やるのは大変。しかしイベントをやるということはそういうことなのだ!ということで、企画運営している福岡のチームと自分に猛烈にプレッシャーをかけているイベント『コトバナプラス』の舞台裏の話をしてもいいかしら?

トークイベントはエンターテイメントだ

実は僕、かつてファシリテーターや司会としてそれなりに活躍していました(さいきん菌に夢中すぎてあんまりやってないけど)。
で、相当な数のトークイベントを企画したり司会したりしてきたわけだが、そこで1つわかったことがある。

トークイベントはエンターテイメントである。
本質的には、ライブや寄席やプロレスと一緒だ、と僕は信じている。

「なんて乱暴なことを言うんだ!日常では触れない知的な領域を知るための新星な場ではないのかね?」

ははは。おっさん何ぬかしてるねん。
「日常では触れない知的な領域」をそのまま受け取っても眠くなるだけ。アカデミックだったりニッチだったりめんどくさかったりするトピックスこそエンターテイメントに昇華しなければならないのだよ。そうでなければみんな寝る。

僕の関わってきた環境技術や微生物、地域の文化や経済という領域はロフトプラスワンでやっているような「カルチャー感」はゼロ。出演するほうも聞きにくる方も「勉強させていただきます」という神妙な面持ちで会場にやってくる。

そこで各界のセンセイ方が、

「えー、その、周知の通りですね、日本における土壌の保水力低下は深刻な問題でありまして…」

というテンションで講演をはじめ、それを聞く意識高いおじさまおばさま方は最初はメモとか取っているのだけれど、そのうち爆睡モードに入る。

この傾向はもっと若い世代でもしばしば起こる。
農業や食や環境や社会福祉などの「ソーシャルなトピックス」についてイベントを企画する人は、「社会的にコレクトかつジャスティスな話をしてやるんだからみんなちゃんと聞くように」というよろしくない態度が無意識に発動してしまい、「なんか、勉強にはなったかもしれないけど…けど…」という微妙なわだかまりを参加者に残し、そして続編は開かれない、という末路を辿ったりする。

このわだかまりの正体は何かというと「自分がおいてけぼりにされている」という疎外感なのであるよ。

山登りを教えてもらおうとセンパイと一緒に八ヶ岳登った時に「なんだお前、こんな岩場にも登れねえのか」と言われたとするでしょ。その後に「仕方ねえな。ほら」と手を差し伸べてもらったら恋の始まりだし、「じゃ、オレ先に行くから適当についてこいよ」と先に行かれてしまったら絶望感しかない。

専門性の高いトピックスほど、企画・司会する側は「そのトピックスに詳しくない人」が迷わないようにガイドをする義務があるし、出演者の発言を時には遮ってでも「今言った単語の意味は何ですか?」とその場に流通するボキャブラリーの意味を明らかにしなければいけない。

これが「みんな楽しいエンターテイメントなイベント」の基本の「き」。

イベント企画するヤツが言うのも何だが、僕は激しく集中力が持続しない、注意散漫すぎ野郎なので段取りの悪いトークイベントは5分で眠くなる。
なので、僕の思う良いイベントの基準は「自分が眠くならないイベント」なのだな。

大御所バントのライブを手本にすべし!

じゃ、次は応用編に行こう。
まず参加者を迷わせない、というのが基本。これをクリアしたら次は「いかに盛り上げるか」というチャレンジが待っている。

僕がここで「盛り上げる」と言うのは「場を盛り上げる」ということではない。
「映画のように、オープニングからエンディングにかけて盛り上がる流れをつくる」ということだ。
(場が盛り上がるというのは、「エンタメ感あるイベント」の「結果」でしかないからね)

例えばイベント時間が二時間あるとしたら、それは二時間のライブと同じだと考えたほうがいい。お手本にするのは、大御所バンドのワンマンツアーだ。

ほら、大御所バンドってさ、ニューアルバムを出した後にでっかいホールでライブやるじゃん。それがだいたい二時間なんだけど、構成を見ていると実は法則がある。
前半はニューアルバムの新曲中心で、時には実験的な曲もやるから、たまにお客さんも「ハテナ?」となったりする。しかし、後半になるとイントロのギターリフが流れただけで「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と盛り上がるヒット曲が連発される。

この流れは、逆にしてはいけないのだね。
最初に緊張感をつくり出し、後半に観客との「コール&レスポンス感」を演出する。

これが納得感あるエンターテイメントだ。
実験的な曲に終始するとレディオヘッドじゃなくてトム・ヨークだし、みんな知ってる曲しかやらないのはKISSだ(←これはこれで楽しいが)。

これをトークイベントに応用するとどうなるのだろうか。
博多天神でやっている『コトバナプラス』に当てはめてみよう。

前半はゲストスピーカーのやっている事業やプロジェクトをじっくり聴く。これはなるべくスピーカーにとって「NOWなトピックス」がいい。今取り組んでいる最中ということは「言語化が追いついていない」ということなので、僕が何かを質問した時に「それはつまり…」と言葉が詰まったりする。言葉が詰まると緊張感が生まれる。

トークイベントのホストは「沈黙が生む緊張感」を飼いならさなくてはいけない。
なぜかというと、沈黙のあとに来る次の一言こそ「ライブな言葉」だからだ。

これだけメディアが発達している昨今、気になる人がやっていることや考えていることはどこかの媒体に載っている。だから、僕たちがイベントで触れたいのは「今この瞬間生まれるライブな言葉」だ。

大御所バンドが最新の実験曲を披露するのは「常に進化し続けるバンドのいま」をファンと共有したいからだし、NOW進行中の実験はうまくいくかどうかわからないからファンもドキドキする。そのドキドキがあるからバンドもファンもライブに行くし「進化し続ける」のであるよ。

でも。二時間ずっと実験だと疲れる。
なので、後半はフレンドリーモードになり、お客さんと「コール&レスポンス」を楽しむ。

トークイベントにおいてのこの「コール&レスポンス」は何かというと、普段は「オマケ」として邪険にされている質疑応答タイムだ。僕の場合、イベント時間の半分をこれに当てる。

それはなぜか。理由は2つある。
1つは、スピーカーの「必殺フレーズ」が出やすいからだ。質疑応答の序盤は「よくある質問」が大半なので、そこに普段からリピートしている「伝わるメッセージ」を返すことができる。

もう1つは、「参加者とスピーカーが一緒に場をつくっている感」が生まれるからだ。メッセージを受け取る時には「強度」というものがある。同じメッセージであっても、WEBマガジンでなんとなく読み飛ばしたものと、目の前の本人からバッチリ目を合わせた状態で言われた言葉ではぜんぜん強度が違う。

スマホの画面上で「結局は自分を信じることなんです」という文字列を眺めるのと、1m先にいる生身の人間から「結局は自分を信じることなんです」と言われたら「は…はいッ!私も頑張りまあす!」と盛り上がるじゃん。これがトークイベントの醍醐味のひとつなんだね。

だからね。質疑応答タイムってのはオマケじゃなくてトークイベントの本体なんだよ。
(これは今年の夏にいったブダペストの国際学会でよくわかった)

オマケだと10分くらいしかないから、当たり障りのない質問を受け付けて終わりだけど、1時間あると全然違う展開になる。
最初の三十分を超えると、だんだん会場の「コール&レスポンス感」のボルテージが上がってくる。この状態になると「ふだん出てこないような本質的な問いかけ」が生まれる。そうなると、スピーカーと参加者が言葉通り「いっしょに答えを考えて知恵をしぼる」という瞬間が訪れる。その後に出てくるフレーズが「その日のハイライト」になる。

この「ハイライトなフレーズ」が参加者にとっての最高のお土産になるのだな。
…ということで。おさらいすると、

・参加者が専門的なトピックスで迷わないようにガイドすること
・ボキャブラリーの定義と共有をすること
・イベントの序盤は進行中のトピックスで緊張感を共有する
・イベントの後半はコール&レスポンスで盛り上げる

で、最終的に何が言いたいかというと、

・トークイベントはエンターテイメントだ!
ということで、明日10/5の博多天神のイベント遊びに来てね。
サイコーのゲストとお客さんが集まるよ。

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