サッカーブログに見る、演繹法と帰納法。
今日は、ついに僕の趣味である「サッカーブログ」について書くぞ。
僕、サッカーが好きで欧州チャンピオンズリーグや日本代表の試合をネットやテレビでチェックしてるのですが、最近は試合を観ていた他人が書くレビューが気になりだして、巷に溢れる「サッカーブログ」を定点観測しています(我ながらヘンな趣味だぜ)。
サッカーブログをざっくりと定義するならば、「個人が、サッカーについて思うところを自由に書く」というメディアの総称を指します。で、数百のブログを読んだ末に、サッカーブログには大きくわけて3つの種類があることに気づきました。
1.サッカーチーム or 選手のファンブログ
マンチェスター・ユナイテッド、FCバルセロナ、横浜マリノスやセレッソ大阪etc.
海外/国内のサポーターによるファンブログが、サッカーブログ全体の60%(ヒラクの主観ですが)を占めます。ここでは、愛するクラブに「こうあって欲しい」という願いが赤裸々に綴られています。「香川はやっぱりトップ下で使うべき」、「イニエスタが巧すぎて困る」、「柿谷はJの希望だ」みたいな感じで、この第一のカテゴリーの特徴は「自分の願望」によって表現されていること。
なので、「お前は監督でも無いのになんで『◯◯すべき』とか断言できるんだ??」みたいなツッコミは野暮ってもんです(サッカー業界は、こういう愛の溢れるサポーターによって支えられているのよ)。いわゆる一つの「サッカーブログ」というメディアの王道ですね。
sports navi+というブログポータルで、日々たくさんの記事が更新されています。
(ちなみに最も「暑苦しい」のは、日本代表に関する記事です)
2.サッカーにまつわるゴシップブログ
これもけっこう数は多い。このカテゴリーで扱われるトピックスとしては、「スター選手の移籍」、「飲酒運転して事故起こした」、「◯◯選手が△△監督を非難した」というような類。
ハリウッドセレブのゴシップって、どうしてか人気あるじゃないですか。あれのサッカー版です。世界中にファンのいるスポーツなわけなので、スター選手がチームを移籍すると何十億円というお金が動く。そこに嫉妬や羨望が渦巻くのは当然の流れですね。
というわけでヒラクにはイマイチ魅力がわからないこのカテゴリーですが、例外がありまして。
フモフモさんという正体不明のぬいぐるみライターによるブログが破格に面白いのでご一読下さい。
3.戦術やテクニックを分析するブログ
ヒラクが最も好きなカテゴリーがこれ。特定の試合を分析しながら、「両チームの監督の駆け引き」や、「あるシチュエーションにおける選手の判断やスキル」の妙をあぶり出していく。書く人のサッカーに対する理解と視点の確かさが求められる、難易度の高いカテゴリーです。
そもそもの数が少ないうえに、クオリティについては玉石混淆。8割がたは、「サッカーメディアによる試合レポートのコピペ+自分の感想」止まり(実質1のカテゴリーなんだけど、「主語」が違う)。
…しかし!なかにはとんでもなく深淵なブログもあります。
スターティングメンバーから戦術を分析し、ピッチ上のフォーメーション(4-4-2とか3-4-3とか聞いたことありませんか)から「いかに相手の長所を潰し、自分達の短所を消すか」という監督の意図を読み込み、何気ないパスやランニングから「3つ先の動き」を解析し、そのチームの設計図を明らかにしていく。
論理学的にカテゴライズするならば、1のカテゴリーが演繹法に分類されるのに対し、この3のカテゴリーは帰納法に分類されます。
つまり、「オレ/ワタシの思う最強の日本代表」という仮定のうえで試合観戦し「ベラルーシに勝てないクセに『自分たちのサッカー』なんて笑止千万!今こそ闘莉王呼んでザック解任すべき!」と結論を導き出すのが、1のカテゴリー(組長はセルジオ越後)。
対して3のカテゴリーはどうかというと、
「なぜザックは、闘莉王を呼ばず、一見ザルに見える吉田を使い続けるのか」
「それは、吉田は遠藤や長谷部に縦パスを出すことで『攻撃の起点』になることができるからだ」
「つまり、ディフェンダーから攻撃を始めることで、遠藤と長谷部の守備のザルさを消し、長友とウッチーの攻撃力を活かそうとしているのではないか」
と、「ザック監督の気持ち」を読み込むことで、論理を組み立てていく。「吉田一人がザルな状態と、チーム全体がザルな状態を天秤にかけたならば、吉田一人がザルな状態を選ぶ」というリアリスティックな思考の過程を、ザックになりかわって読み解いていく。
これ、個々の事例を収集し、解析していくことで解を導くという帰納法的アプローチね。
…さて。
僕自身は特定のチームのサポーターではないので、サッカーブログを読む時に「共感」はあんまし求めない。なもんだから、1のカテゴリーはしばしば too much な気分になるわけです。
もしサッカーブログに「知的快楽」を求めるのであれば、やっぱり3のカテゴリーがよろしい。サッカーは、一試合でドカスカ点が入るわけではないから、個々の選手の能力差がバスケやラグビーのように結果に反映されない。
だから常に「戦術」と「ちょっとした運」が試合のカギを握る。それがジャイアント・キリングを引き起こし、「オラたちでもワールドカップで優勝できるんでないべか」と世界中の国々を熱狂させる。
そしてその「熱狂の裏側」を怜悧な目線で分析し、「勝つべくして勝ち、負けるべくして負けるメカニズム」を暴きだしていく。それを味わうのはなかなかにインテリなお楽しみなのです。
というわけで、最近のヒラクのお気に入りのブログをご紹介しておきます。
サッカー店長のつれづれなる日記 ~戦術は浪曼だ!~
これ読むと、いかにサッカーの戦術が奥深いものであるかが感得できますよ。
他にもこんなトピックス。
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