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インプットを極めることで、生産性が上がりまくるという仮説。

今年に入ってから、今まで仕事に割いていた時間の半分を勉強に割くようになった。
そうすると、仕事をする時間は一日あたり正味4〜5時間くらい。あとは実験したり資料読んだり語学の勉強をしている。

で。
これぐらいまで仕事の実時間を減らすと「生産性」について色々と考えることになる。
自分の仕事の種類をいくつかに分けると、

A. 考える時間:アイデア出ししたり企画をまとめたり
B. 手を動かす時間:デザインしたり原稿書いたり
C. 仕事相手と調整する時間:メールしたり打ち合わせしたり
D. 人と会って情報交換する時間:ご飯食べいったりイベント出たり

あたりになる。僕の今までの道のりを振り返りつつ傾向を整理してみると、

20代半ば:
駆け出しのデザイナーの頃はAとBのやりかたがよくわからなくてひたすら時間がかかる。その代わりCは上司がやってくれて、Dにはなかなか声がかからない。この間にAとBのコツを時間をいっぱい使って会得していたと思われる。

20代後半〜30代前半:
アートディレクションの仕事が主になると、今まで一番時間をかけていたBを誰かに発注することになる代わりに、AとCに時間を割くようになる。この時、慣れないCに四苦八苦しながらマネージメント力を会得するようになる。このあたりからDにポツポツ声がかかるようになると日中目いっぱい仕事した後で、夜人に会うというサイクルになるのでめちゃ忙しくなる。単純にあれこれ手を出している器用貧乏な状態なのだが、SNS上に限って最強に輝いて見える。

ここでとにかく寝ないでガツガツ頑張ると業界内においてブレイクスルーが起こるのだが、僕はここで挫折して(←身体弱い&微生物界に入った)別の道を選択した。

・マッチョでも虚弱でも、身体は時代の「おはなし」に左右される。

まず、山梨に引っ越したことで、Cの時間が少なくなった。「とりあえず打ち合わせ」というのをしなくなり、電話もめったにしないので、メールでだいたい完結する。そして、楽しいのでつい手を出してしまうDを自粛した。さらに最近は新しいことをやることも自制したので、なんとAの時間もビシバシ減る(プロジェクトの立ち上げにアイデア出しが必須なので)。
そうすると残るのは、20代で卒業したはずのBなのだが、結構修行を積んできたのでけっこうなスピードでアウトプットすることがでいる。

AとCは「人やモノを動かしてマネージメントする」という仕事なのだが、BとDは「個人のパフォーマンスで差異化する」という仕事になる。このバランスと分量を考えることで、全体としての生産性が設計されることになる。プロデューサーになりたい人はAとCを頑張り、プレイヤーになりたい人はBとDを頑張ることになる。

日本のビジネス界においては「働き盛りはあえて調整・交渉作業を頑張り、タフなメンタリティと社会的信用を構築する」ということが推奨されるが、微生物界においては「なるべく楽ちんな方法を選び、場合によっては他人のふんどしを取って寄生することも厭わない」というイージーゴーイングな方法論がスタンダードになっている。

競争相手の多い場所で一等を取ることではなく、なるべく敵がいないニッチポジションを探すことが、生物界の掟であり(ほんとは)ビジネス界の鉄則だ。

僕が今なんとなくやろうとしているのは、A〜Dにかかる時間と分量をなるべく減らして、インプットをとにかく極めまくるという作戦なのだよ。
そして極めまくったインプットをBに還元すると、恐らく競合のいないブルーオーシャンに到達することができる。そして注目すべきは、競合のいない発注には調整作業=Cが発生しない(なにせ比較対象がないので、それが適切な納品なのか判別しようがない)。そこで発生した余剰時間をさらにインプットにつぎ込むというスパイラルをつくれば、どんどん「実作業としての労働」が減っていくことになる。

この状態に到達すると、勉強したり散歩したりお風呂入ったりという時間が一日の大半を占めるようになると、当然ナイスアイデアがポンポン浮かんで結果的にAも駆動し、Dに関しては時折SNSやブログ上にナイスな山梨の写真を投稿してイケてるゲストに訪ねてもらうようにすればいいのであるよ。

「なるほど。さすがヒラク君だ。そこまで見越して研究に没頭しているとは。脱帽だよ」

いや、まあ、口からでまかせなんですけどね(こないだ過労で倒れてたし)。

【追記1】余談ですが、過去に色んな企業と仕事していく中で調整作業に時間をかけすぎて自分たちの人件費の元が取れなくなっているというケースを散見してきました。このあたりのバランスを補正するとみんなはやく仕事終わって夕方愉快に過ごせると思われます。

【追記2】このエントリー書いているうちに「なんで社会人が勉強する必要があるか」がなんとなくわかったような気がします(おせーよ)。

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