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みんなが好きなことか、自分が好きなことか。起業のモチベーションはどこから来るか?

友だちのゆうじ君が仕事の相談をしにきた。
彼は、ITスタートアップの会社を立ち上げて写真や動画投稿のアプリをつくっている。

で、相談内容はといえば。
最近教育や健康、福祉などの分野に興味を持ち始めたのだが、今までやってきたメディアの事業と全然違うし、そういうソーシャル・ビジネスに近いようなことを実際やってみたらそれは「当たる」のか?ということでした。

なるほどね。
ゆうじ君の質問にはいくつか論点がある。

みんなの関心のあることか、みんなの関心がないことか

自分で事業を立ち上げるとき、領域設定の考え方に2つの方向性がある。
一つは、みんなが好きなことを仕事にする。
もう一つは、みんなが好きじゃないけど、自分が関心のある事を仕事にする。

前者は例えば「音楽」とか「旅」とかがわかりやすい。多くの人が好んで関心を持つものだ。
で、後者はみんなの関心からもれるているが、自分にとっては気になること。マジョリティが興味を持たないマニアックな関心(鉄道とか蘭とか)もそうだし、みんなができれば考えたくないと思っていること(財務とか、水道修理とか)でもいい。

「みんなが関心をもつもの」にヤマをはるか、「みんなが関心をもたないもの」にヤマをはるかで、起業の行方は違ったものになる僕は思う。

「みんなが関心をもつもの」は、成功した時のパイが大きいのでスケールしやすいし、事業の意義を説明しやすいので人を納得させやすい。そもそもやっていることがカッコいいので「ヒップ」だ。
しかし、そんなイケてる起業はみんながやりたいことなので、当然過当競争になる。よって博打性が高まる。「一発当てるで」という表現は、この博打性の裏返しだ。

翻って後者、「みんなが関心をもたないもの」はいかがであろうか。
これはたいがいそもそものパイが限定的だし、説明しづらいし「起業家」というイメージのカッコ良さに比べて、自分の事業のイメージが非常に地味になる可能性も高い。

ゴールを取るのか、プロセスをとるのか

…とここまで読んでおわかりになる通り、僕の関わってきた事業(あと僕自身も)は、圧倒的に後者なのだね。ぜんぜんヒップじゃないんだけど、良いこともいっぱいある。

まず、基本的に競争というものがない(それが市場になると思われてないから)。なので「はやくやらなきゃ出し抜かれる!」と焦らずマイペースにできるし、前者では「競合」にあたるヤツが、後者では「同志」になる。

そして何よりいいのが、あれこれ試行錯誤するなかでファンになってくれた数少ないお客さんは、長いあいだファンでいてくれることだ。それが一人であっても五人であっても、自分があきらめなければ、いつかは自分の事業が成り立つ人数になる。

さて。
僕がゆうじ君の話を聞いていて「へぇ〜」と思ったのが、事業をやるにおいて「当たる、当たらない」を重要事項にしているところだった。
僕はそんなこと考えたことがなかったので、新鮮だったのだね。

「みんなが関心のあること」において事業を成そうとすれば、確かに「誰よりもはやく当てる」ということが大事になる。そのための最高速度を出すために、合意形成のしやすい若いチームに集中的に資金を投下することが必要になる。首尾よくビジネスモデルが回りだしたら、スケールさせて上場、あるいはバイアウトして利益を得る。ゆうじ君がいるのは、そういう「ゴールありき」の世界なのだろう(たぶん)。

しかし、同じ起業といっても全く違う世界がある。
「世間の関心事ではないが、自分にとってののっぴきならない使命」をもって事業を起こすものにとっては「ゴール」よりも「プロセス」が重要になる。どこまで事業を大きくしていくのか、利益を出すのかというのは「やりながら考える」ことになる。彼/彼女らにとって重要なのは「今この瞬間に、どのように課題と向き合い、顧客という名の同志と対話するか」というプロセスであり、そのプロセスにおいて学ぶ様々なことが自身の事業における「報酬」だ。5,000万円の事業だろうか500億の事業であろうが、やっている本人にとって本質的な違いはない。

そういう意味では、「自分の関心」をもとに始める事業は、ほぼ100%「当たる」と言える。

えっ、なんでかって?アフリカの部族の雨乞いの儀式とおなじ原理。
「恵みの雨が降るまで踊って祈り続ける」ということなのだぜ。

 

【追記1】このエントリーのもとになる考え方は、クラシコムの青木さんからプレゼントしてもらった、ポール・ホーケンの『ビジネスを育てる』という本から学びました。自分の関心に従う、競争しない、マイペースにやる。僕にはこういうのが合っているようです。

【追記2】僕の友人には正にこのエントリーのような仕事の実践者がたくさんいる。最近では国産の薬草茶を掘り起こしている新田理恵ちゃんの{tabel}や、トットネスの New lion brewery西粟倉のようびなどが、正に。

【追記3】どっちをやるか、というのに正解はなくて。本人の性格や適性次第なんだろね。

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