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【ポートレート紹介】超素人から一年かけて学んでみた。写真のおける人とレンズの関係の奥深さ。

こんにちはー、ヒラクです。
正月明けの週が過ぎて、また三連休。今年の年初はゆっくりスタートですね。

さて。
合同会社++は自社のフリーペーパーを発行しているのですが、そのインタビュー写真、僕が撮影するのが慣例になっています。
ヒラクはもともとイラストレーター上がり。
なので、写真は得意じゃないんですけど、友人の天才カメラマンの杉山正直君からお下がりのレンズをゆずってもらったり、コツを教えてもらっているうちに段々とちゃんとした写真が撮れるようになってきたんですよ、これが。
(正直くん、ありがとう!)

最近では、「オフィシャルのプロフィール写真にしたい!」と言ってもらえることも多くなりまして。
いやあ、コツコツ継続すると何事も上達するもんだね。

というわけで、

ここ1〜2年のヒラク撮影のポートレート写真紹介(←時系列)


株式会社やまもり代表、「母めし」提唱者の大久保久江さん(2013年2月撮影)。

この頃に、ようやく「標準付属のレンズには限界がある」ということに気づいた(←はよ気づけ)。
そこで、正直くんに譲ってもらった、「Micro-NIKKOR 55mm F3.5」という、今から50年前に開発されたアンティークなレンズを使用。
単焦点で標準の50mmからちょっとズレた、「どの距離から撮っていいか判断に困る」仕様。
しかもマニュアルフォーカス以外不可という、素人には絶望的に使いづらいレンズだったのですが、この時の撮影にはうまくはまった。

このレンズ、コントラストがパキッと出て、色調もかなり固いので、絞りをうまく設定しないと速攻で色飛びする。
この写真でも、なんせ素人の腕だから窓の外が全部白飛びしている(汗)けど、まあまあ気に入っています。
(大久保さん本人は、「太って見える」とあんまり気に入ってないらしいけど、本人の人柄がよく出て写真だと思うのよ)

続いて、水のジャーナリスト、橋本淳司さん(2013年4月撮影)。

これも前述の「Micro-NIKKOR 55mm F3.5」で撮影。
野外の撮影は、自分で動いて距離を合わせられるから単焦点でも撮りやすい。
とはいえ、F3.5だから、遠近感というかキレイなボケ感はそんなに出ないんだけどね。

写真を「絵」だと捉えると、やっぱり基本は構図と色のバランス。
そう考えると、橋本さんの役者っぷりと「水色」のシャツが目立つ、絵的なコンポジションの写真です。
ちなみに、この写真が初のオフィシャルポートレート採用(笑)。

 


お次は、建築家で「エクセルギーハウス」の発明家である、黒岩哲彦さん(2013年6月撮影)。

はい。ここで運命の出会いがありました。
中野のフジヤカメラで見つけた「Tamron SP AF 35-105mm F2.8」という、これまた銀塩時代のレトロなレンズ。
「28-105mm」ではなく「35-105mm」という、これまた「オイ、どういう距離から撮ればいいんだ(涙)」となるズレた仕様なんですけど、なぜか僕妙にこのレンズが気に入っちゃったんですよね〜。

というわけで、このポートレートはTamronのヘンなレンズで撮影したんですけど。
なんて言えばいいんでしょうかね。こう、色味もコントラストも「モタっ」としているんですよね。
最近のSONYのNEXやCANONのEOSシリーズの画質みたいな、デジタル感や高精細感、ハイファイな感じは皆無。
その変わり、ヘンに味のある彩度の高さとボケ味があって、ヒラクが好きな感じの「ローファイかつ丸みのある絵」が撮れるんですよね。

思うにこのレンズって結構「人を撮る」のに向いているんですよね。
被写体の表情や空気感を表現しやすくて、この写真でも黒岩さんの「発明家」っぽさとか「ひょうきんな感じ」が良く出ている。
とてもスキな写真です。

 

NPO森の蘇り代表、「きらめ樹間伐」の伝道者、大西善治さん(2013円9月撮影)。

はい。お察しの通り、これもTamronのへんてこレンズです。
どうですか、このローファイ感。背景の草の狂ったようなグリーンの輝き
目に刺さりそうな彩度で迫ってくるTシャツと樹にまかれたテープのピンク。
遠近感がよくわからなくなるヘンなボケかた。
写真じゃなくて、リアルに描かれたイラストみたいに見えなくもない(笑)。

…とまあレンズの話はこれぐらいにしておいて。
やっぱり大西さんは、森の中が似合うなと。
やっぱり自分のホームグラウンドや思い入れのある場所で写真を撮ると、そのリラックス感が伝わります。
(まあ、モデルならスタジオでもそういう表情が作れるんだろうけど)

このTシャツのクシャクシャな感じが、いかにも大西さんという感じで、これまた思い入れ深い一枚。


ご存知、森の番長こと沖倉製材所の頭、沖倉善彦さん(2012年10月撮影)。
これもTamoron。画像補正ほとんどしてないのに、どうよ。この空の青さ。
番長の写真といえば、正直くんが撮ったポスターが有名(森業界で)ですが、その時に開花した番長の「ドヤ力」が発揮された一枚ですね。
(昨今の草食系男子にはとてもマネできんよ)

さて。この写真ですが、来週日曜に開催される東京建築カレッジの公開講座、「オレは木で喰っていく。」のポスター用に撮影。
カレッジの学生の若い子たちにも人気だそうです。

ん〜、番長あいかわらず絵になりますねえ。


続きまして、働き方研究家&ファシリテーターの西村佳哲さん(2013年11月撮影)。
これもTamron。もう人を撮るときは基本これ。可愛いヤツなんだよぉ。
この写真は、あきゅらいずの10周年記念冊子で使う用に撮影。++オフィスのすぐ近所の井の頭の森で散歩しながら撮りました。

西村さんの「現代の西行法師」的な雰囲気が出てますね(←勝手に定義するなよって話ですが)。
微妙に森と同化している感じもスキです。

これも「オフィシャルポートレート採用」してもらいました。やっほー。

 

コーヒードリッパーで、++のみんなと仲良しのクロちゃんこと黒田悟史さん(2013年12月撮影)。

++にドリップ実演しにきてくれた時に撮影(美味しいコーヒーが飲みたくなる写真だぜ)。

「あれっ、この写真他のとちょっと雰囲気違わなくない?」と思ったそこのアナタ、鋭い!
これは、「AF Nikkor 50mm F1.4」のレンズを使用(←普通のレンズもたまには使うぜ)。
写真の専門学校行ったらまず最初に買わされるレンズだそうですが、それも納得。

デジタル一眼の標準キットで付いてくるレンズ(F4.5とか)だと、オートフォーカスにしておけば絞りもシャッタースピードも何にも気にしなくてもまあ一応写真は撮れる。

だけど、こういうレンズになると、写真の仕組みをしっかり理解しないと良い写真が撮れない。
撮りたい構図になるまで自分で動いて、かつ光がキレイに入るように設定して、ブレないようにしっかり撮る。
そうすると、素人レベルのヒラクあたりが「おお〜、めっちゃキレイにボケているぞ!
とうっとりできる写真が撮れるんですよね(←ボケているのは僕のアタマだという説もある)。


最新作です。南多摩にある臨済宗普門庵の住職、見城宗忠さん(2014年1月撮影)。

昨年に小冊子「お寺葬のすゝめ」を制作させてもらいまして、今年は第二弾のプロジェクト「お寺葬PR大作戦」が始まります。
で、そのキーとなるメイン写真がこちら。いやはや、この見城住職、めちゃくちゃフォトジェニックなのですよ。
なので、そのキャラクターを生かさない手はない!ということでまたポスターを作ります。

いや〜、手前みそですけど、言わせてもらおう。

「僕、けっこう写真上手くなった!」

使用レンズは、いつものTamron。
なんですけど、この撮影ではじめて「ついにTamronを飼いならした!」という実感があったね。

全体的に平面的な「のっぺり感」とか、高精細に撮れない感じってレンズの質もあるんだけど、そもそも「オートフォーカスのピントの寄せがめっちゃ甘い」とうう問題がありました。
だから、Nikon純正あるいはSigmaあたりのF2.8のカメラとくらべて、普通にパシャパシャ撮っているとどうしても輪郭があいまいになるんですよ、Tamornちゃんは。

なんですけど、しばらく「AF Nikkor 50mm F1.4」を使っているうちに、「ピントが合っているかどうかの判断」の解像度が上がってきたんですね。
となると「F1.4に慣れたいま、F2.8でピントを合わせるなぞ造作もないことよ…!」ということになり、動きながらでもマニュアルでゴリゴリピントをあわせりようになる。

そのあたりを理解すると、黒岩さん→見城住職の進化に見られるように「Tamron独特の画質に加えて、適度なハイファイ感」を出すことができるようになるのだな。

写真の奥深さがわかると、プロの存在理由もわかってくる。

てなわけで。

時系列に並べていくと、超素人が段々学習していくのが見えますね。
で、学習していくと「写真という技術の奥の深さ」がわかってくる。
そうすると、「やっぱりプロはすごいなー」と思うわけです。

例えばF1.4やF2.8のレンズをマニュアルでしっかり使いこなすためには、相当な訓練と経験が必要。
そういう基本技術をマスターした上で、望遠で撮ったり魚眼で撮ったり、照明機材を使いこなしたりとか。
さらに、外の撮影であっても天気に左右されない光のコンディションの作り方とかも大事になってくるわけですよ。
(人がたくさん関わる撮影の場合「今日は曇りなんでまた明日」というわけにはいかないし)

最近のミラーレス一眼(Olympus PENとかSONY NEXとか)、あるいはエントリー用の一眼レフ(Canon Kissとか)は本当に性能がこなれていて、写真の知識ゼロでも、けっこう雰囲気のある写真が撮れてしまう。
なので、「良い写真のハードルが下がった」ような気がするんだけど、実は違うんだな。

何も知識がなくても「良い写真っぽいもの」が撮れるということは、逆に言えばそれ以上の階段には登れないんですよ。
僕たちが「あっ、この写真印象的だな」と思うものって、機材の性能×撮る人の仕組み理解&テクニックで撮られている。

素人が写真を学んでいくと、どこかで「踏み越えられないライン」がわかる瞬間があるのよね(←僕、いまココ)。
なもんだから、なるべく写真はカメラマンに頼むという方針がやっぱり賢明かなと思うわけです。

最後に++スタッフの集合写真。セルフタイマー君が素敵に撮影してくました。

【追伸】
ちなみに、僕のメインで使っているカメラは「Nikon D7000」。アマチュア以上プロ未満ぐらいのクラスです。
今回取り上げたレンズは、中古で探すと20,000〜30,000円程度。
それぐらいでも、色々勉強して結構楽しむことはできるみたい。
正直先生、どうもありがとう〜!

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