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「ちいさな工夫」が積み上がって生まれるミラクル

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群言堂の宿、他郷阿部家のパッチワークされた舗石。味わいある。

山陰豪族ツアーから帰ってきました。
旅程は、島根県石見銀山の群言堂→広島県尾道→鳥取県智頭→岡山県西粟倉の三泊四日。

各地で色々な出会いがあったのだけど、石見銀山の群言堂と智頭のタルマーリーのことについてメモしておきます。

理想に向かって小さな工夫を積み上げる

石見銀山の群言堂は、松場トミさんと大吉さんが35年かけて閉山後の石見銀山の小さな村にアパレルブランドや宿、カフェ等を手作りして出来上がっていたブランドであり自治区のような場所(同行の青木さんの言葉を借りると「もののけ姫に出てくるたたら場」のような場)。

智頭のタルマーリーは、渡邉格さんとマリコさんが営むパン屋&ビール醸造所。その土地の穀物と野生の菌を使ったパワフルな発酵食を食べられる、世界中からファンが集まる場所になりつつある。

実際に足を運ぶとその世界観の強さは驚くばかり。
…なのですが、アートディレクターの職能によって分解してみると、群言堂やタルマーリーの世界は誰でもやろうと思えばできる「小さな工夫」の積み上げによってできている。

例えばだな。
群言堂のお宿の、手作りでパッチワークした出窓やアプローチの舗石、あるいはアパレルの素材となる地元で加工した布地の選定。あるいはタルマーリーの、野生酵母でのパン種づくり、ビールの醸造や、地元の麦を製粉する設備を限りなくDIYでつくる努力。

これらは、実は「手間はかかるが、誰でもやろうと思えばできること」だ。
さらに言えば、パッチワークの出窓も野生酵母で発酵させたパンも、それだけを取り出した時に「圧倒的な才能によって生み出されたもの」ではない。

にも関わらず、群言堂もタルマーリーも人を魅了する素晴らしい世界観なのね。
個別の部分ではなく「小さな工夫が果てしなく積み上がった様」が人間くさく、チャーミングで、ユニークで、何より共感できるのであるよ。

全体感のある世界を信じる

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智頭の山に住む酵母で焼いたパン。おいしかった!

群言堂もタルマーリーも、圧倒的な「天賦の才」ではないものでドライブされている。

それは何なのであろうか。
「全体的な世界観」を自分たちの手で実現できることへの強い確信なのでであるよ。

いまだ既存の社会には存在せず、誰か他の「天賦の才」によってつくられているものでもない、「自分たちなりのホリスティックな小宇宙」への情熱がそこにはある。

構造としては、まず目指すべき全体感があり、そこから逆算されるように各パーツ(パッチワークの出窓や野生酵母)が生まれてくる。

誰でもできる工夫を積み上げればできることなのに、誰もやらないのはなぜか。
それは、「目指すべき小宇宙」のイメージを持つことができない、あるいはイメージはあっても信じることができないかのどちらかだ。

ヒラクの私見だが、ここ数年のいわゆる「ソーシャルな流れ」が盛り上がるにつれ、感性のある人はそれぞれに「小宇宙」のイメージを見出すようになった。しかし、イメージするだけで、それを底の底から信じている人はそう多くない。

なぜ自分のイメージを信じることができないのだろうか。
その理由はとてもシンプルだ。信じることができない人には「自分だけの場所」と「自分だけの時間」が無いからなのであるよ。「割り当てられた仮住まい」と「誰かにマネージされた時間」のみで構成されている者には、「合理性を無視して自分の手でとりあえず試してみる」ということができない。

群言堂もタルマーリーも、何もない空白の状態から試行錯誤を積み重ねることで小宇宙を作り上げていった(と思う、たぶん)。
前言撤回するようだが「全体的な世界観」というグランドデザインは最初からあったわけではなく、小さく何か個別のパーツを作りながら育っていったものなのだと思う。

自分の手で「作りながら」「実感しながら」考え、その過程でイメージされた小宇宙は、外からのインプットで得た情報からイメージする小宇宙と本質的に違うものだ。
ひとりの人間のなかで、身体と思考の対話が起こっている。対話が起こっているから、そのイメージは強く、しなやかだ。

群言堂やタルマーリーのような場所は「自分の実感を信じる小さな個人」が時間を積み上げることでたどり着いた大きなミラクルだ。そしてそのミラクルを成し遂げていく過程が、僕たちを励まし力を与えてくれる。

「自分の信じる道を歩みなさい」

と背中を押してくれるような温かさが、「シュリンクする時代のヒーロー」の条件なのであるよ。ではその「シュリンクする時代のヒーロー」とは何であろうか?が次回のテーマ。

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イタルさん、タルマーリーのみんなありがとう!次回はいっしょに菌育てるぞー!

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