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近所の野菜のことを真面目に考えてみた。

こんばんは、ヒラクです。
今日は++事務所にダルマストーブが導入されました。建てた建築家も「若気の至りだった」と反省するほど「断熱ゼロ」の打ちっぱなしコンクリート建築。壁から冷たいビームがばしばし出ていたのが、点火して1時間ほどで窓に結露が!これはつまり「外気の寒さに、室内の暖かさが打ち勝った」ということで、引っ越して来てから初の快挙です。僕を除いて女子の++スタッフ。今年は断然「温暖化」するぜ。
そろそろ仕事も終わりというころに、「みたかやさい」の江口さんがやってきて打ち合わせ。。
彼のやっている「みたかやさい」は読んで時のごとく、「みたかのやさい」の行商八百屋さん。今年の夏に僕が出演したデザインのワークショップがきっかけで、合同会社++で「みたかやさい」のブランディングをさせてもらっているわけなのです。
三鷹に住み始めてはや6年。引っ越して来た当初から「畑が多いな?」と思っていたのですが、江口さんのおかげで、その認識だいぶ深くなりました。三鷹野菜、数だけじゃなくて、質も良いものがけっこうあるのですよ。
「みたかやさい」のブランディングは、まず三鷹の市内で「ヤバい野菜(この言い回し身もフタもないな)」をつくっている農家さんたちに取材に行くところから始めました。そしたらね、「都市農業」って「農村農業」と全然コンディションが違うのですよ。
まず第一に「土地にかかる税金」。皆様街歩いているとよく「生産緑地」っていう看板見るじゃないですか。あれ何を意味しているかというと「特例的に税金が安い土地」を指しているのですね。店舗やマンション経営に比べて、田畑は「収益性が低い」ので、税金を安くしている。だから都会でも大丈夫…ということではなくて、実はコンバインとか肥料をしまっている倉庫とかガレージには容赦なく「都会スタンダード」の課税がかかってくる。これが結構バカにならない(らしい)。
第二に「相続」。東京だと、親が死ぬと相続のために田畑を売り払わなければいけないケースがほとんど。なので、若手の農家は例外無く「父ちゃん長生きしてくんろ」と日々お祈りとか、肩もみとかをしているんですね。
第三に「広さ」。これが「農村農業」との一番の違いかもしれません。
農村の田畑に比べて、三鷹の農家の田畑は豆粒みたいにちいちゃい。だからなかなか収益性を確保できないんですよ。だから都市農家のある種のステレオタイプとして「外車に乗って、マンション経営で不労利益を確保したうえで、趣味で畑をいじる」みたいなイメージが生まれる(そして実際そういう人も多いとか)。
そんな向かい風のなか、三鷹の「ヤバすぎる農家」はどうしているのか?その答えが面白かったんです。「畑が小さい」「収益性が確保できない」「でも当面食いっぱぐれはない」。だから、「アヴァンギャルドになる」のですよ。攻めの野菜作りに打って出る。
例えば田辺さんという、西荻の「のらぼう」御用達の農家さんがいます。この田辺さんは普通の農村の専業農家ではなかなかできない「少量多品目(たくさんの野菜を、ちょっとづつ)」の野菜づくりをしている。ふだんスーパーではなかなかお目にかからない珍しい野菜を色んな種類作っている。
普通なぜ「少量多品目」の農業ができないかというと、収益をしっかり出すためにJAの流通を主にすると、ロットを安定させるために「多量少品目」になる。ところが田辺さんは「のらぼう」や「みたかやさい」というオルタナティブな流通・販路がすぐ近くにあるので、「少量多品目」かつ「個性的な味」を追求できる。
その仕組みを理解したときに思ったんですね。「おお、都市農業には農業全体のイノベーションの種があるぞ」と。全てを農業の収益に頼らなくても良い、そして多様な流通がある。だからチャレンジできる。これは面白い。
都市農業は量が限られているから、多くの人の胃袋を満たすためには農村から流通する野菜が当然ベースになる。では「みたかやさい」をはじめとする都市農業の役割とは何か。それは「先行モデルを試してみる」みたいなことになる、という可能性をなんとなく感じているのでした(もちろん農村にもたくさんの先行モデルがあるのですが、それとはまた違ったものができるかもしれないという可能性ですよ)。
考えてみれば、自分の住んでいる食べもののブランディングに関われるなんて素晴らしい。江口さん、良い機会をありがとうございます。一緒に頑張りましょうね。

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