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言語化しづらい「好みのタイプ」。

今週も気づいたら木曜日。あっという間に時間が経ってしまう。
あれこれと慌ただしいけれど、でもとっても機嫌よく過ごしています。というのも基本ずっとデザインの作業をしているからなのです(それ以外の用事で忙しくなると機嫌が悪くなる)。
一年中寝ても覚めてもデザインしてて不満がないのだから、ヒラクはよっぽどこの仕事が好きなのでしょう。ほんと、ありがたいことです(ちなみに最近は、店舗と電子書籍という新しい領域にチャレンジしています。楽しい?)。
さて。
そんな感じで日々色んな人と一緒に機嫌よくお仕事しているわけなのですが、この「デザイン」というヤツ、単に絵を書いたり文字を配置したりしているわけではなくて、「思考の交通整理」や「占い」みたいなことが大事です。人の潜在意識のなかにダイブしていくんですね。
ちょっとベタですけど「恋愛」でケーススタディしてみましょう。
A子さんに「好みのタイプは?」と聞いたら、「そうね?、優しくて、私のお願いを何でも聞いてくれる人がいいな」と答えたとする。それで優しくて素直で献身的なB男くんを紹介したところ、一ヶ月後に「優しくて良い男の子だったんだけど…」と言って不満げだったりする。
よくありますね。こういうこと。
紹介した身からすると「何だよ、リクエスト通りのナイスガイを紹介したのに」と思ってしまいますが、実はこの認識は「人間の潜在意識」を見くびっているところから来ます。
結論から言いましょう。
A子さんは「自分の願望を自分で把握できていない」のです。それはなぜかというと、A子さんの願望は潜在意識のなかにクラゲのように漂っており、それが顕在化するには、「今まで考えたことなかったけで、一目見た瞬間に『運命の人だわ!』と思ってしまう誰かに出会う」ことが必要なのです。
つまり、「タマが来ないとバットが振れない」ということであり、「他者を通してしか自分の潜在意識を把握できない」ということなのです。
というわけで、「すげーひねくれ者で、自分勝手なC郎くん」に恋をして、B男くんは振られてしまうことになる(うーん、これもよくありますね)。
この場合、A子さんの「優しくて何でもお願いきいてくれるひと」は、「最大公約数的言動」であり、「こういうこと言っとけばとりあえず悪女には見られまい」というポリティカル・コレクトな発言であって、別にA子さんの願望は反映されていなかったとする(悪女に見られたくないという願望は反映されてるかもだけど)。
で、デザインの現場でもしばしばこれと同じことが起こります。つまり、「可愛くて、ゴージャスで、誰でも好きになっちゃうもの」というオーダーを受けて、「できました」とラフをつくると「うーん、ちょっと思っていたのと違うな?」ということになる。
これは前述の現象とよく似ています。潜在意識を把握するのが「自分の後頭部を見ること」と同じくほぼ不可能であるという人間のアーキテクチャーに起因しているのです(僕だってそうだし)。
だから、話を聞く側がこれを意識して頑張るのが大事です。
状況把握、話の文脈、その人の表情や挙動、呼吸のリズムや声のトーンに注意して「その人の潜在意識」に入っていく。で、そのシンクロ率が高まってくると「その人がいまだ表現できなかったが、しかし喫緊に必要としていた何か」を探り当てられる(上手く行かないときもあるけど)。
どこで読んだのか忘れちゃったけど、編集者の後藤繁雄さんが吉本ばななさんなんかの女流作家にインタビューした本があるんだけど、後藤さんの「相づちの打ち方がすごい」という話がありました。
「相手に憑依した相づち」を打つんだよね。それは一種のモノマネで、「吉本ばなながいかにもいいそうな」、「川上弘美がいかにも言いそうな」返答をする。
そして、話の流れが一段落した時に、後藤さんなりのまとめとか言いかえをするんだけど、それもまた「その人がいかにも言いそうな」はなしをする。
このとき、読者は一瞬錯覚するわけです。「ん?ドッペルゲンガー?」と。
他人のはずなのに、本人より本人が言いそうなことを言ってのける。
これが「相手の潜在意識にダイブする」方法論なのですよ。
というわけで、デザインは実は「自分の表現をする」ということでは括れない(作家性が強い人もいるけど)。客観的に見てみると、僕はたぶん「シンクロ系」のタイプなんだろうな、と個人的には思います。
「ヒラクくんは、クリエイターとしての自我がないね」。
うん、そうかも。
でもさ、突き詰めればA子さんが望んでいるのって、「私の願いを聞いてくれるひと」じゃなくて、「私の願いをいっしょに探してくれるひと」だったりするかもよ。
「私と同じ性格で、私と同じように考える人」は安易に「好みのタイプです」と言語化できる。
しかし。「私と違う性格で、にも関わらず私のことを私以上に考える人」というのはなかなか言語化しづらいけど、一定のニーズがあるポジションであるとヒラクは思うのです。
僕は自我をがんばって通すよりも、「なんか一緒にいて悪くないヤツ」になりたい(おいしいお味噌みたいな感じね)。
おや、たまにはデザインの話をしようとしたらいつもと同じような話になっちまった。
毎度芸のないブログだぜ。

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