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自分を不快にさせるのは、「外部の敵」ではない 〜不快の構造を考えてみた〜

昨日の話の続き。

極端なメッセージを受け取ると、心身ともに硬直して思考&行動停止になる。しかしそれは見方を変えると、「変化する状況に適応して主体的にアクションする」ということへのリスクヘッジとして機能する。これもっと言えば、「誰かが先に答えを見つけて、そいつの見つけた道にフリーライドする」までの時間稼ぎということになる。

なので、結論として言えば「現実離れした楽観論あるいは陰謀説」はどちらも「多くの人が待ち望んでいるもの」ということになってしまう。
恐ろしいことだけれども、どんな不快に思える現象も、実は「誰か(自分かもしれない)が望んでいるねじれた願望」が密かに叶えられた結果だったりするんだな。

デザインは、本質的な変化を避ける目くらましとして機能してしまう

うーん。これって自分のデザインの現場でもしばしば見る光景なんだよね。
経営者とか、管理職の人が「我が社は変わらなければいけない!」と断固とした感じで言うもんだから、内容を聞いたら「いや、それ絶対現実的じゃないでしょ」ってなことだったりする。(いきなり全然違う業態に変えるとか、海外市場に進出するとか)いやね、社長っていうのはそういう突拍子もないことを実現するんだ!という話もあるかもしれませんが、そういう人ってもう一目見てわかるじゃないですか、普通じゃない感じが。

新橋のガード下の赤ちょうちんのカウンターで「我が社は変わらなければいけない!」っていうのは、裏を返せば「オレは変わりたくない!だから会社or世界がオレにあわせて変わってくれ!」っていうことだったりする。

前にも書いたことだけど「若手が育たない」というのは「若手が育ってしまって自分の席を脅かすのが怖い」であり、社員にもっと経営の意識を持たせたい」という場合は「できれば経営責任のぜんぶを自分のところに留めたい」っていうことの裏返しだ。
その延長で、「我が社は変わらなければいけない!」というセリフの裏には「我が社はありのままで良い。社会がいつか追いつくのだ!」という、「無理ゲー」な願望が潜んでいたりするのだな。

うっかりするとデザイナーってのは、こういう面倒くさい状況に巻き込まれやすい。
組織の本質的な変化を避けるための「目くらまし」としてデザインが持ち出される。こういう人はデザインを「高くて甘いケーキのデコレーション」だと評価しているのであって、そいつをコテコテと塗っておくと、中のスポンジが腐りかかっていても誤魔化せるという計算を(たぶん無意識に)している。

敵は自分の内部にしかいない

えーと、話を戻して今日の本題。

極端な願望というのは「無理ゲー」なわけなので実現しない。その結果「今まで通り」ということになる。でもそれは惰性ではなく「変わろうと努力はしたのだが…」というエクスキューズがつく。

ズルいよね。そしてさもしい。

そしてこのズルさ、さもしさというのが自分にとっての「最大の敵」だ。
自分を不快にする敵は、常に自分の内部にいる。「変わろうと思っても変われない」という状況が不快なのは、変わることを許さない外部要因が原因なのではなく、「変わりたくない」と思っている自分が潜在意識を支配していることに対する不快なんだな。

「自分を操っている影のフィクサー」とか「自分が自由に振る舞うことを許さない権力者」という外部の敵は、実は敵ではない。むしろ逆で、「ズルくてさもしい自分」の願望を叶えるエージェント(代理人)として登場する。もしその敵を排除したとしても、また別のエージェントが「旦那、お望みのブツを持ってきましたぜ…」と自分を訪ねてくる(往々にして外部の敵は絶対に倒せないラスボス設定で登場するので、こういうことは起こらないが)。

「自分にはどうしようもない」ということを自ら進んで信じることは、一種の「クスリ」として機能する。
「ここから踏み出したくない、踏み出すならせめて誰かの歩いた道の上がいい」というリスクを恐れる自分への鎮静剤として。で、それはそれで間違っちゃあいない。絶好調で超無敵なサッカーチームの戦術やスタメン選手をやたらいじくる必要ないはずだし(←どうした、レアルマドリード汗)。

問題は、「今この瞬間が、構造変化の時期なのか、そうでないか」という読みだ。

「かつて無敵だった戦術が全然機能しなくなって低迷、だから予算がなくてスター選手も獲得できないサッカーチームの置かれた状況」が今自分の生きている社会の姿だと読んでいる。もしそうだとするならば、「未知の可能性を信じる」という方向に舵を切り続けることが正解になる。

モイーズ「イングランド伝統のロングクロス放り込んでドン!の戦術に戻ったらどうだね」

ファン・ハール「ははは。ご冗談を。オレ=戦術トレンドだ」

クロップ「カガワくん、最新の戦術は今やドイツだ。戻ってきたまえ」

(あれ、サッカーの話題になっちまった)

 

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