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独立した人が、もう一度独立する瞬間。

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独立当時の事務所。冬は寒かった〜

こんばんは、ヒラクです。前回のエントリーの続き。

何回かこのブログでも書いたんだけど、僕は24の時にあきゅらいず美養品という会社に就職しました。
といっても新卒入社ではなくて、卒業してからしばらく空白があったんですね。

大学を卒業した後、何を血迷ったか借金して、大きな一軒家を借りてゲストハウスを始めました。そこで色んな国の馬の骨と暮らし始めたんだけど、あまりにも混沌とした毎日に「これはヤバイぞ」と思った矢先に拾ってくれたのがあきゅらいず美養品でした(←でも就職してからもそのゲストハウスに住んでたけど)。

で、入社直後からなぜか「僕の最初で最後の勤め先」と根拠もなく決めつけていたので、3年間とにかく一生懸命働きました。
今思えば、なまじっか新卒じゃなかった&そもそも自分が会社に勤めると思ってなかっただけに、余計「自分が会社で働くこと」に意味を見つけようと頑張ったのかもしれません。

 

「実家」としての前職

さて、そのあきゅらいず美養品。

入社するときには、笹塚のアパートを改造したオフィスで、社員10名に満たない規模だったのが、3年後独立する時には関連社員あわせて100名近い組織になっていました。それだけ急成長するということは、裏を返せば成長痛があるということで、注文処理がぜんぜん追いついかずに夜遅くまでお詫びの手紙を書いたり、組織が空中分解しそうになったり、色んなことがありました。

でも、僕企業というものがそもそも何か知らなかったから、そういうこと全部「お祭り」みたいで楽しかったんですよね(そして今、そういう「経営の厳しさ」を今になって実感していたりする)。

でね。

3年働いた後、元気が有り余って独立しちゃったんですよねー。色々と悩みましたが、最後は経営者からも応援してもらう形で送り出してもらいました。
そんな感じで付き合った会社って、やっぱり自分にとっての「実家」みたいな感じになります。

別に雇用関係があるわけじゃないけど、そこはかとなく身内な感じがするんですよね。

 

実家の価値って、一人暮らししてからわかるよね。

僕のパートナーである民ちゃんは、新卒で農文協という農業の出版社に入り、2年ぐらいバイクで日本中の田舎を営業して回って、その後雑誌の編集をしてから独立してやっぱり農業と郷土食に係わる仕事をしている。

んで、親友のwatoことゆうじ君はcyber agentというIT会社で7年(たぶん)働いて独立して、電子書籍のメディア事業を立ち上げようとしている。

身近なこの二人のことを見ても、前職が「実家」なんだな〜っていうのを感じるのよね。

生まれたてのヒヨコじゃないけど、最初に入社した会社って「自分のキャリアの原型」になります。
価値観とか、仕事に対する姿勢とか、ボキャブラリーはもちろん、ビジネスモデルの組み立て方から人脈の広げ方まで、かなりの確立で「実家」のやり方を踏襲することになる(目玉焼きに醤油をかけるか、ソースをかけるか、みたいな)。

そして、時間をかけて徐々に「実家」のやり方を乗り越えていく(目玉焼きにはケチャップもアリでしょ!)。
この乗り越え期間って要は「仕送り=基本のノウハウとか人脈」でやりくりするところから、自分らしい働きかたにたどり着いていく過程なのかな〜と思ったりします(あくまで僕の実感ですけど)。

そんで振り返って「これでオレも一人前かしら」と曲がりなりにも思えた時に、気づくんですよね。
実家の価値に。

「企業文化」が本当の意味で根付く瞬間

働いて良かったと思える会社って、たいてい「企業文化」というものがあります。
それは、理念だったり社会的使命みたいなものから、スタッフ同士のコミュニケーションのマナーだったり、社内イベントだったり、人事評価だったり上流から下流まで色んなレベルのものがある。

良い会社であればあるほど、この「企業文化」の根付かせ方がうまいから、そこで頑張るスタッフは言動も価値観もその文化に染まっていく。
そして、独立する時には「自分の道を切り拓くぞ!」と言いながらも、その「言いかた」がまんまその会社のボキャブラリーだったりするんですね。

それが、時間が経つにつれて少しづつ「脱染」していくわけです。
自分のボキャブラリーを獲得していく。

獲得していった先に、じゃあ前職の企業文化がぜんぶ抜けるかというと、そうじゃあない。
そうじゃあなくて、自分にとって一番必要なものが残っていく。

会社が大事にしていた価値観と、自分が目指す価値観の重なる領域が残る。
それはつまり、親のことばではなく、自分のことばで実家の価値を語るようになる、ということです。
そのときに、本質的な意味で文化というDNAが「パス」されることになる。

 

「おう、久しぶりだな。一杯やるか」

「親父、ずいぶん髪が白くなったな。これおみやげ」

ドン(←一升瓶を置く音)

「お前もちょっとはものが分かるようになったじゃないか」

「親父、オレ最近になってようやくわかったんだけどさ…」

「………」

「ガキの頃は短気なクソオヤジだと思ってたけど、考えれば親父…オレが生まれたの、今のオレと同い年だもんな」

「………」

「大変だったよな、オレのこと育てるの。オレ、クソガキだったもんな」

「………なに言ってんだ、お前は…お前は……最高の息子だ。」

「親父…親父ィィィィ!!」

 

(そして障子の向こうでは、母が静かに肩を震わしているのだった…)

※ちなみにヒラクの実家にはこんなオールドスクールさは微塵もありません。あしからず。

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