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手前味噌学。〜ALL ABOUT”味噌”の白熱講座!

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写真は、手前味噌学受講者限定の「自由大学味噌仕込み樽」。

自由大学での「手前味噌学」。全5コマ無事終了いたしました。
人生初の「講師体験」、面白かった〜!
ほら、よく「教えることが最大の学びである」みたいに言うじゃないですか。それ、本当なのね。

お味噌や発酵の専門知識を、わかりやすく平易に説明する。 これって実は「知識の深み」が必要とされるんですよね。
「どうしてそうなるの?」という素朴な疑問を解決するには、それ相応の下調べと体系的理解がいるわけで、
不肖ヒラク、大学受験よりも一生懸命勉強させて頂きました。 課題もたくさんありましたが、
情報量の詰まった充実した講義になったように思います。

↓ちなみに、講義内容のレジュメはこんな感じ↓

1日目▶発酵醸造学超入門&利き味噌体験 with 五味洋子さん(発酵妹)

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一日目は座学で2コマ。1コマ目は「発酵醸造学超入門」。
スライドを使いながら、「そもそも発酵とはなんぞや?」「発酵するとどんないいことがあるの?」といった発酵醸造学の基礎の基礎を解説。

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「超」入門なので、概説ではなくて化学式の解説までしちゃうよ。
(発酵兄妹の妹であり、小泉先生の愛弟子、五味洋子ちゃんが大活躍)

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発酵の全体像を説明したら、次は日本特有の発酵文化「麹」についてのレクチャー。
麹菌は、日本の「国菌」だって知ってました?(←ていうか「国菌」というカテゴリー自体知らないって)

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イラストを使って、お味噌がどのように醸されて栄養満点になっていくのかをわかりやすく解説。

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お味噌の栄養価は、ニコニコ動画風に解説!

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手前みその分類は分布、味の違いをレクチャーした後に…

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利き味噌体験!

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米(信州・仙台味噌)→麦(九州味噌)→豆(八丁味噌)と、味噌を舐めてみる度に、

なにッ!?味わいがこんなにも違うだとッ……!?
(ざわ・・・ざわ・・・)

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と教室内に衝撃が走りました。
そうなんです。
同じ味噌といっても、北と南では全然味が違うし、愛知や岐阜あたりの八丁味噌に至っては
「私はこれを味噌だと思わない」と言い出す人まであらわれる始末。
醤油といい日本酒といい味の画一化が進む和食の世界で、例外的に「地域の多様性」をキープし続ける味噌の文化の奥深さを味わってもらいました。

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ちなみに「利き発酵食品」もやってみたんだけど、あり得ない食べ合わせになってしまった…。

1日目には、醤油と日本酒の研究家杉村啓さんも飛び入り参加。
味噌だけに話はとどまらず、日本の発酵醸造文化の奥深さに触れる講義となりました。
(杉村さん、今度またご一緒しましょうぞ)

 

2日目▶手前味噌作り with 五味仁&五味洋子さん(発酵兄妹)

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2日目が今回の講義のメインイベント、手前味噌作り。
「味噌界のプリンス」こと、五味仁さんをゲストに、実際に自分で味噌を仕込みます。

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素手で麹を触る機会って、あんまりない。 良い香りで、触った後は心なしか肌がスベスベに。

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マッシャーで煮大豆をつぶす(←これ気持ちイイ)。

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樽に敷き詰めて、塩をまぶせば終了。 夏過ぎには、熟成を経たおいしい手前みその出来上がりです。

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この可愛い手前みそガールは、子どものためのアート情報誌TonTonの編集長の葉山さん。 (
年明けに、一緒にプロジェクトをやる予定です。お楽しみに〜)

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コーディネータのシライジュンイチさんも手前みそ!
仕込み終了後は、五味さんを囲んで味噌作りの現場の話を聞きました。
「味噌の保存の仕方」「スーパーでイケてる味噌を見分ける方法」など、役立つ知識をたくさん学ぶことができました。
五味の旦那、どうもありがとう〜。

 

3日目▶味噌汁ワークショップ with しらいのりこさん(料理家)

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最終日は、「あなたにピッタリのお味噌汁が見つかるワークショップ」。
ゲストには、料理家のしらいのりこさんを迎えました(写真中央左)。
夫婦でごはん同盟という魅惑的な活動をしています(キャッチコピーは「おかわりは世界を救う」)。

お味噌汁といえば、やはりだしが命。
当たり前のようでいて実は結構知識があいまいだったりする「だし取り」のノウハウを伝授。

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見よ!この黄金色に輝くかつおだしの高貴な色を!!
(ちなみにかつおぶしも発酵食品ですよ)

さて、最終日の目玉は本邦初公開の、味噌汁マトリックス。 ドン!!

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三種の味噌×三種のだしの組み合わせを全て試し、そこから一番好みの味を判定するという、 ありそうでなかった「味噌汁の好みのリトマス試験紙」。

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「うわ〜、味噌だけでも奥が深いのに、だしとの組み合せ…マジで宇宙だわ」

「八丁味噌×煮干しだし…これはもはやゴジラ対モスラや〜〜!!」

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普段はお目にかからない意外な組み合わせも「宿酔いの次の日には最高かもしれない」という高評価があったりと、やはり十人いれば十通りの好みがあることがわかったぜ(この日人気だったのは、麦味噌×昆布だしorかつおだし。具を入れない状態だと、麦味噌が一番美味しさを感じやすい)。

最後は、お味噌汁とご版を食べながら、参加者の「味噌汁話」に花が咲きました。
話を聞いていて思うのは、「味噌汁の記憶は家族の記憶とリンクする」ということ。
(マトリックスのなかで一番好きな味が実家の味と同じだったり)

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というわけで、あっという間の三日間の講義が終わったのでした。
しらいのりこさん、どうもありがとうございました〜。今度は「だし学」ですね。

「当たり前」のものの解像度を上げてみると、未知の世界が見えてくる。

さて。
今回は「味噌」というものを掘り下げることで、発酵醸造学という科学の領域や、日本の郷土食という文化の領域に踏み込んでいきました。
この、「当たり前のことを掘り下げていくと、果てしないテクの蓄積が明らかになってくる」という楽しさ。

コーディネーターのシライさんの視点が、具体的な形で昇華されたナイスな企画だったな〜と手前みそだけど思います。
僕としても体系的に勉強してみることで、改めて「発酵の世界、マジで半端ないって!!」ということを再認識しました。
ゲストで参加してくれた皆様、そして受講してくださった皆様、どうもありがとうございました!

農大の醸造科(という科があるのだよ)で、あれだけ細かく専攻が別れている理由がわかりました(調味料とかお酒とか)。
それがわかったということは、ついに「よく知っている素人→マジの専門家」へのスタップに踏み出したのかもしれません…(発酵地獄へようこそ!)

それでは次回予告。 手前味噌学、好評につき第二期を開講する予定です。
時期は、来年2月初旬開講予定。 詳細が決まったらまた告知しまーす。

 

【宣伝!】手前みそのうた、来年2月中旬に農文協さんから絵本として出版されます。どうぞよろしく!

photo by 小倉ヒラク&シライジュンイチ&しらいのりこ 

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