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ビールはエラい!「安全・高品質」という言葉はビールのためにある。

10419475_10152511116975928_3404863334251576058_n-1こないだデザインさせてもらった、AUGUST BEERの無濾過ピルスナー。おいしいよ。

今年の夏は、ビールの仕事が多かった(パッケージデザインとかイベントとか)。
なので、必然的にビールの勉強がはかどるわけですが。

いやあ、ビールって知れば知るほど素晴らしい。

ビールづくりは純粋さを極める道だ!

まず驚いたのがですね、「ビールづくりには原則科学添加物や調味料を入れることが禁止されている」ということなんですね。
これをやってしまうと、ビールとは認められなくなるそうな。

なぜそんなにストイックなルールができたのか。
古くは16世紀のミュンヘンにその歴史はさかのぼる。1516年、バイエルン公国のヴィルヘルム4世が「ビール純粋令」というスゴい法令をつくったんですね。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」というのがビールづくりの原則になった。これが巡り巡っていまの日本のビール製造の下地になっている。そしてさらに調べてみると、この「ビール純粋令」発令以前にも、古代エジプトやバビロニアでは「ビールに混ぜ物をしたら死刑」「ビールを薄めて出したら死刑」という過酷なルールがあった。

かようにもビールは「純粋さ」を求めるストイックな道なわけですよ。

日本のビールは、総じて「安全」で「上質」な飲み物ではなかろうか…?

「でもね、ヒラクくん。日本のビールの成分表示を見てみると、米だとかコーンスターチだとか書かれているではないか」

ご明察。
しかしこれは「大量生産のための工業的プロセス」ではなく「和食に合う軽いキレを出すための工夫」なのですよ。辿ってみると、明治時代に誕生した国産ビール第一号はどうやらバイエルン的「純粋ビール」だったそうなのですが、どうも微妙に日本人の味覚にあわない。で、研究の結果、今のコーンスターチや米を入れるビールが開発されたそうな。

そしてさらに時代が下り、昭和の終わり〜平成にかけて、サントリーが国産「純粋ビール」を復活させ、クラフトビール全盛の時代になって僕たちは違和感なく「純粋ビール」を楽しんでいるわけだ(ということは、僕たちの食生活や味覚も変わったということだな)。

ええと、何が言いたいかというと。
よく食品の世界で「大量生産の大手メーカーのつくるものは、添加物が多くて安全性に疑問が残る」なんて話がありますが、ビールに関しては、大手だろうと地場の中小メーカーだろうとその点は変わりない。

だってさ。まずビールって「水が命」じゃん。だから、大手メーカーだったら自前で水を囲い込んで、「日本のビールに向いたピュアな軟水」を優先確保するじゃん。そして、麦もホップも安定してクオリティの高いものを、水と同じように農地を囲い込んでつくる。そして醸造するプロセスは「混ぜ物なし、化学添加物なし」の原則で、厳密な温度管理のもとに仕上げる。もちろん出荷するときに酸化防止剤や香料なんて使わない。

そりゃあ、うまいし、ハイクオリティだよね。

実際、大手S社のプレミアムビールと清涼飲料水の原料表示を見比べてみれば、ビールの「ピュア度」がわかるってもんです。
要はさ、工業的プロセスが発達しまくっている飲料業界において、ビールは別格に「出どころがハッキリわかる」。

大手でも地ビールでも変わらない、そのクオリティは本当にスゴいよ。
お酒好きなみなさま、日々ビールを美味しく味わえるのを心から感謝しよう。ヴィルヘルム4世とビールメーカーの皆様に。

「…まだ話は終わっていないぞ!じゃあ大手のビールとクラフトビールに違いはないのかね?」

えーと。それはまた別のおはなし。

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