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バグが「飛躍的進化」を誘発する。「よくわからないけど面白い」の存在意義

昨日のエントリーを読み返してみたら「なんじゃこりゃ」と思わずつぶやいてしまった。
論点が整理されてなくて何を言いたいのかよくわからない。

整理して秩序をつくるデザインを生業としているのに、これはいかん!
と思うわけだけど、クラシコムの青木さんに「わかんないなりになんかあるかも感は感じたよw」とコメントをもらった通り、何かしらインスピレーションを感じるものもあった。

えーと。何の話がしたいかというと。
「何となくの直感で見切り発車したアイデア」ていうのはバカにできないって話なのさ。

wired

去年の秋に、WEBマガジンのwired.jpにこんな記事を寄稿した。
ざっくり言えば「発酵の世界って、現実の世界にも精神の世界にも拡張していくんじゃないの?」という提言なんだけど、前半の代謝の科学的な解説はちゃんとまとまっているが(いちおう僕の専門だし)、後半においては「とりあえず立ててみた仮説」だ。

正直書き終わった後に「こんな放り投げっぱなしで大丈夫なのだろうか?」と思ったのだけど、一晩寝て起きて読んだら面白かったのでそのまま編集担当の塚田アリナ嬢に送稿してしまったのであるよ。そしたらじわじわと読まれ続けて、2000いいね!くらいシェアされて今でもちょこちょこ読者からメッセージが届く。

「よくわからないけど、インスパイラブル」であるというのは意外と大事なのだね。
こういうアイデアをアウトプットすると、インパイアされた無意識はマジでその世界を実現する方向に動き始める。言い換えれば、直感で飛んだ着地地点と今自分が現実に立っている地点の溝を「事後的」に埋めるように思考&行動することになる。

ルーティンの仕事というのは「積み上げ型」で行われていくが、この「飛躍型」は積み上げ型では不可能な「無関係な2つの点を線にする」ことができる。まあ率直に言えば「こじつけ」なんだけど、「ムリなこじつけ」をシームレスに表現するときに結果として「創造性」があらわれる。

これは僕がテキトーに言っているわけではなく、生物の進化システムを見ても証明されていることだ。キリンは木の上の草を食べるためにちょっとずつ首を長くしたのではなく、たまたま遺伝子のバグが起こってやたら首が長いキリンが生まれ、他に木の上の草を食べる競合がいなかったために淘汰を免れた。もし首の長いキリンが海辺に生まれていたら、ただ動きがノロいヤツとして淘汰されていただろう。

(余談だけど、人間が今のような複雑な生き物として進化できたのは、大昔に僕たちの遠い祖先である微生物が原始的な細菌を食べた時に「たまたま」消化しそこねて、細胞内でサバイブした細菌がミトコンドリアになったからだ。)

これを人間の知的営みに移し替えてみると、インスピレーションといのは「思考のバグ」なのであるよ。このバグはほとんどの場合、淘汰されて消えていくが、時々奇跡的に思いついたヤツの興味や社会的文脈に合致することがある。この時に「飛躍的進化」が起きる。

「よくわかないけど、インスパイラブル」なものは、つまり首の長いキリン、あるいは手術台の上のこうもり傘とミシンの出会いのようなものなのさ(←わかる人にしかわからないネタ)。

 

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