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デザインの指標のパラダイムシフト:続くこと、広がること

20140928GoodDesign

受賞展は10月末から。

先日、グッドデザイン賞の審査報告会に行ってきました。
これは、受賞した各デザインと、賞全体の傾向について審査員からコメントしてもらうという会。数千点の応募のある超巨大なイベントなわけで、運営側が「どのような指標」、「どのようなプロセス」、「どのようなテンション」で審査をしているのかを知りたかったので、とても良い機会でした。

プロジェクトそのものを「デザイン」と見なす

てまえみそのうた」は「公共向けの活動・取り組み、社会貢献活動」というセクションでの受賞。このセクションは、具体的なプロダクトや「作品」と呼べるようなものが少なく、プロジェクトそのもの、考え方やメディアでの伝えかたも含めての「デザイン」が多く集まっていました(ちなみに「てまえみそのうた」も、アニメやワークショップ、絵本、ライセンスの考えかたまで含めての評価)。

審査員の南雲さんからも「デザインのあるべき姿は、今年がターニングポイントになるかもしれない」と最初に評があった通り、このセクションには「これをどうやって共通の枠組みで評価すればいいのよ?」と悩んでしまうような雑多なジャンルが集まっている。
石積みの技術を学ぶ民間の学校とか、東北食べる通信とか、噛む力の衰えた人用のお洒落なカフェとか)

つまりだな。
「機能的なデザイン」とか「美しいグラフィック」とか「革新的な技術イノベーション」みたいな枠組みで評価できないものばっかり集まっているんだな。
そうなると、今までとは違う指標をつくらないと「そもそも何をもってして良いデザインとするのか」ということを決めることができない。指標のパラダイムシフトをしない限り、この超多様なプロジェクト群を評価できない。だから、「今年がターニングポイント」という定義になるわけです。

続くこと、広がること。新しいデザインの指標。

さて。
では今回のこのセクションはどのような指標で評価されたのか。
審査員曰く「続いている」ことと、「広がっている」ことの2点。この視点はとても納得できるなと思ったぜ。

なぜならば。
もし「仕組みが良くデザインされている」みたいに、プロジェクトのフレームだけ見てしまうと、それは公共事業や大手デベロッパーが開発するプロジェクトが優勢になってしまう(そういうのも受賞してはいるんだけどね)。

現実のところ、地域のコミュニティでなされているプロジェクトって、仕組みがいかにスマートにデザインされていても、当事者意識が根付かないとフェードアウトしてしまうことが多い。本っっっ当に多いんだよお。

なので、仕組みをドライブさせている「意匠」を指標とする、という発想はなるほどそうだと思うのです。そこに関わる人をその気にさせて、しかもそういう人たちの輪が広がって、新しいプロダクトやイベントが増殖していく。

「仕組みが良ければ万事上手くいく」と発想は、ビジネスや公共事業はもちろん、コミュニティでのプロジェクトにおいても絵に描いた餅になる(と聞いてグサッときてしまった人、すいません)。
実は「その気にさせる演出」や、「人を巻き込む熱」が仕組みに負けず劣らず重要で、それがあるからこそ「続く&広まる」サイクルができてくる。

で、また指標の話に戻る。
もし↑の仮説を前提とすると、つまり「続いている&広まっている」プロジェクトを評価するということはつまり、「その気にさせる演出」と「プロジェクトをやっている人の情熱」が秀でていると判断することであり、そこにはしかるべき「仕組み」もあると判断することだと言える。

そしてそういう演出をデザインと定義し、情熱を持つ人をデザイナーと定義する。

…とそんな感じにヒラクは理解したのでした。

良いデザインに必要な4つの”P”

最後の審査員コメントで、ロフトワークの林さんが言っていたことも印象深かった。プロジェクトが上手くいくためには「4つの”P”」がある、というお話。

・PROJECT(継続的なプロジェクトであること)
・PEER(仲間との出会いがあること)
・PASSION(そこに情熱があること)
・PLAY (楽しむように仕事をすること)

今回受賞したプロジェクトの多くは、つまりこの4つのPがあてはまるものが多いのだろうね。手前みそですけど、僕たちの場合を考えてみよう。

・PROJECT:3年続いているし、アニメ→食育→絵本と領域が広がっている
・PEER:五味さんをきっかけに全国の発酵ネットワークと出会っている
・PASSION :みんな発酵文化と地域が大好き
・PLAY:たぶん仕事だと思っている人ひとりもいない

おお。全部当てはまっているではないか。
そしてよくよく考えてみると「てまえみそのうた」には、当初プロジェクトを成り立たせる仕組みがなかった。好きなことを、楽しみながらやっていたら、仲間と出会い、気がついたらプロジェクトになっていたという順番だった。

これはつまりだな。「デザインファースト」なのですよ。
公共事業や大手企業の「仕組みファースト」とは真逆で、「情熱」と「出会い」が結果的に仕組みをつくっていくというプロセスだと言える(はず)。

最初に青写真ありきではなく、楽しいという気持ちや使命感からスタートすることで、継続的なプロジェクトが生まれていく。その起点となる情熱や表現やチームのありかたを「デザイン」と見なす。

うん。これは納得できるぞ。

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