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まだ無いものに、名前を与える。

こんばんは、ヒラクです。昨日渋谷のFabCafeに来ていただいた皆様、どうもありがとうございました(特に夜、雨と強風のなか来ていただいて感謝感激です)。後日、またレポートをアップいたします。
さて。

先月10月の末に、大津でアサダワタルくんに呼んでもらったイベントのレポート。
(アサダくんの紹介は、そのジャンル不明ぶりから説明が長くなるので、こちらを参照)

その名も「小倉ヒラクさんと話す、分野ノマディズムな、あるいはコミュニティ・ディアスポラな働き方」。本人確信犯の、くどいイベントタイトル。

皆さんご存知の通り、ふだんの僕は「司会芸」なので、自分の話はいつも3分とか、なんだけど今回は2時間(!)ということで、これを機に自分のここ数年間の活動を俯瞰してまとめることにしました。
「デザイナーのフリをした学者」のデザイン方法、どうして「地営業」の概念の提唱を始めたのか、「合同会社++」を立ち上げてなにに挑戦しようとしているのか。そういう造語的な「キーワード」を核にまとめていったのですが。アサダくんの関心は個々の活動の内容よりもむしろ「僕がどうしてそういう風にジャンルとか方法がクロスオーバーしていったのか」ということの過程だったよう。
なんで、後半のフリートークは、「アウトプットされたそのもの」と「アウトプットされる過程にもたらされるもの」の峻別と、その存在の差異についての話になった。
アサダくんに言われて初めて意識化したんだけど「デザインができるまでの過程」で交わされるコミュニケーションって、会議室に閉じ込めておくにはもったいないぐらい「濃密で野方図」なのですよ。

やりたいこと×未来への野望×過去の体験の束縛×予算と時間の限界×法律的問題etc.が激しく絡み合い、依頼主も制作側もそれはそれは全てを「自分ごと」としてハードにディスカッションやアイデアを交わす。だからその過程で、プロジェクトのあいだで当然のように「破壊」と「再生」、ようは「色々と考えた結果、180度違うアイデアを採用することにした」なんてことが起こり得る(こういうことが普通のビジネスシーンで起こると、それは「管理不行き届き」になってペナルティが課せられるけど、僕の仕事はそれが起こらないとちょっと物足りなく思うぐらい日常茶飯事)。

でも複数の人が、異なる利害関係で動いて、かつ世相の反映もあるとすれば「つくりながら考える」とか「つくりながら変容する」ことって当然の成り行きだし、そういうフレキシビリティが、成功する安パイが崩壊した状況での「次の一手」を打つための合理的なオプションだと思うわけです。

そんなわけで、僕の参加する話し合いって、普通の「会議」よりも具体的で生々しいんだけど、そこには夢のつまった「未来の展望」も同居している(アートやデザインのプロジェクトに関わった皆様は心当たりあると思うのですが)。そして、僕はいつからかその「コミュニケーションの濃度」にフォーカスを当てるようになった。デザインのアウトプットをつくるためのその「濃密なコミュケーション」って、社会のあちこちで必要なことなんじゃないの?てなふうに。

例えば、わかりやすいグラフィックやWEBデザインの現場以外にも、ワークショップや商品開発の企画、イベントのプロデュースから企業の経営会議まで、その「デザインプロジェクトのなかで活用される思考・コミュニケーション方法」を駆使して僕は色んな「現場」を活性化しようとしてきた。

結果、「よくわからんヤツ」になった。だってその「コミュニケーションの質」って定量化できないし、おそらく厳密に言うと職業とか肩書に帰属していない「曖昧な領域」にあるものだから。しかも、「曖昧な領域」にあるもんだから、僕のブログを一読すればよくわかるように「明瞭に言語化できない」。だからますます事態は「はっきりとその場所を特定できないもの」になっていく(でもものすごく強い力を持っていて、色んなものを動かしてしまうのですよ)。

で、その「よくわからんものを追い求める」感じがアサダくんとの出会いを引き寄せたんでしょうね。思い返してみれば。

さて、そういう「よくわからんヤツ」のこれからの展望はどうなるのでしょうか。

可能性は2つで、あくまでも「自分のベースは〇〇ですから」といって、自分のルーツを維持して、本業でない仕事は「付帯業務ですから」といってプライオリティをつける(司会業とかね)。もう一つは、「よくわからん状態」に新しい名前を与える。つまり、この「どこに帰属するのかよくわからない価値」を追い求めて、「分野ノマディズム」に邁進していく…という流れになると思うのです。

つまり、「僕たちの世代に生まれた、まだ定義されていない価値」に対して、年上の批評家からではない、現場からの言葉を与えるという作業です。

直感なんですけど、僕たちが向かう方向はもう決まっている。それは…(言わなくてもわかるよね)。

アサダくん、改めて良い機会ありがとう。次回の機会も近々また面白い形で実現しそうですね。

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