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『発酵文化人類学』一周年記念!3万部重版&フランス語版&続編ができるよ!

あまりにも刹那の出版界で、一年間サバイバルできたよ。生き延びたよ〜!!!

去年出版した『発酵文化人類学』が一周年を迎えました。
ありがたいことに、売り上げが落ちていません。取り扱ってもらえている本屋さんもだんだんと増え続け、SNSやクチコミでじわりじわりと拡がり続けているようです。

つまりだな。
出版から2〜3ヶ月で大半の本が淘汰されて絶版になってしまう諸行無常すぎる書籍の世界において『発酵文化人類学』は淘汰を生き延びることができたということなのであるよ。

「なんと!本の内容が素晴らしいからですね」

いや、僕はそうは思わない。昨今、内容が素晴らしくても不遇な行く末をたどる本がたくさんある。仮に僕の本の内容がイケていたとしても、それだけがサバイブの理由じゃないんだ。

この本を応援してくれたコミュニティの力。
これこそが『発酵文化人類学』が生き延びた最大の理由。つまり僕はみんなに生かされている…!!

コミュニティが発酵する

ご存知の方も多いと思うけど、この本は一般的な本とはだいぶ違う方法論でつくられ、流通している。

・事前に本を読みたい人からの意見(800人超!)が反映され
・取次を通した流通を使わず、自前のメディアで注文をとり
・著者が自力で全国55ヶ所を行商してまわり
・志ある読者や本屋のみんながクチコミで拡散してくれた

という、業界の慣習でレバレッジをかけることをせずひたすら顔の見える関係性を積み上げ続けることで、発売直後から重版出来を重ね、去年末の段階でなんと!2万部まで到達することができたんですね。

一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

これすべて、コミュニティの力が起こした奇跡。嬉しい…嬉しすぎる…!!

最初は「いかに本を広めていくか?」という作戦だったはずが、みんなの声を聞き、みんなに会いにいって話をするうちに、大事なことに気づいたんだよ。

もしかして、一冊の本がつくりだすこの「つながり」こそが、『発酵文化人類学』の本体なのではないのではないだろうか?

一冊の本というプロダクトを介して起きる「コミュニケーションの環」こそが本質。
もはや著者と読者という立場を超えて、相互にインスピレーションと実践の贈与がグルグルまわる。この本がきっかけになって生まれたことが、本と等価の表現になっているのではないのだろうか?

「何をヒラクくんは大げさに!」

と思うじゃないですが、でも現実にここ一年で起こったことを見てみると僕の実感はブラフではない…!

全国55ヶ所を行脚した出版ツアー。写真はそのなかでも最高のハイライト「沖縄の発酵文化人類学」@宜野湾カフェユニゾン。100名を余裕で超える参加者で盛り上がりまくり、なんとこれがきっかけでテレビ番組が企画されたようです。すごい…!

僕が今までやってきた発酵のフィールドワークが地域を巻き込むプロジェクトに。
秋田での発酵文化人類学ツアーはイベント『トージ・コージ』WEBマガジン『なんも大学』にスピンアウト!秋田の発酵のルーツが紐解かれる貴重な機会になりました。

・トージ・コージ! | なんも大学

本がきっかけで、なんと寺田本家の旦那と新政の杜氏が出会ってしまった!
異なるジャンルの醸造家同同士のつながりも生まれて嬉しい限り。

本に登場する醸造蔵や地域を訪ねる『発酵文化人類学巡礼ツアー』に出る人がたくさんいるそうです(自分でもホントかな?と疑いたくなるけどホントだよ)。

同世代で最もスケールの大きな視野の情報学者、哲学者のドミニク・チェンさんとの対談。二人で発酵的な世界の可能性に気づき、ITテクノロジーと微生物をかけあわせたプロダクト開発のプロジェクトがスタートすることに。前からファンだったドミニクさんと最高のかたちで縁ができて嬉しすぎる…!

・明晰夢とアブダクション  ドミニク・チェンの醸され「発酵メディア」研究 | wired

大学時代から本を愛読していた探検家高野秀行さんとも『発酵文化人類学』がきっかけになってお話することに。東南アジアやアフリカの知られざるディープ発酵(納豆)文化を介して、日本の発酵のルーツが前世代の農大の先生たちとは違うカタチで見えてきた…!
お互い珍食好きなので、憧れの大先輩と発酵仲間になることができました。嬉しいぜ。

・謎の未確認発酵物体を追え | 早稲田WEEKLY

『美術手帖』の表紙&特集巻頭インタビューに登場。他にも文芸雑誌やデザイン誌、カルチャー誌などに記事や寄稿が掲載されまくり、発酵がアートや哲学の世界にインスピレーションを与えるというスゴい時代が到来してしまった…!

『発酵文化人類学』の舞台となる、日本全国のローカルで活躍する第一人者たちともたくさんコラボしました。とくにRe:Sやのんびりを立ち上げたローカルメディアのレジェンド藤本智士さんの合同出版企画や発酵文化を訪ねるツアーが光栄すぎた…!
さらにビックリしたのが藤本さん自身が僕にインスピレーションを受けて著書『魔法をかける編集』の全国出版ツアーを始めてしまったこと。

・出版記念イベントツアー日程一覧! 藤本智士 | note

「55ヶ所行脚はしばらく破られない記録になるだろ」と思ってたら藤本さんに速攻で抜かれた(59ヶ所)。センパイすごいっす…!

WEBで連載中のミシマ社の三島さんも『発酵文化人類学』を面白がってくれて、なんとミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の次号の特集(経済と発酵)に藤本さんとともに登場予定!

転がってる…話が転がりすぎてる〜!!!

そしてついにビジネス界にも発酵の魅力が波及。2017年秋の働き方の祭典TWDWや敏腕編集者佐渡島庸平さんが主催するコルクラボのイベント企画に波及していきました。

・プロデュースおじさんの脱力系ビジネス論がログミーで読めるよ!

食やライフスタイルから始まり、アートや思想界をインスパイアし、さらに働きかたやコミュニティの理論にも波及する。

発酵の力、恐るべし…!

さらにさらに。発酵デザイナーが勝手に思いついた学問がリアル講義になってしまったー!大好きな青山ブックセンターで連続講義になっちゃうんだよ。
昨今アカデミアで叫ばれている「文系と理系の垣根を超える学際的なオルタナ学問」って、つまり発酵文化人類学のことじゃん!みんな遊びに来てね〜

これまでの10年間の活動の集大成がこの『こうふはっこうマルシェ』。
微生物界への扉を開いてくれた発酵兄妹とともにホーム山梨で盛大なイベント企画。発酵文化人類学でおなじみの醸造家たちが全国から集まるハイセンスすぎる祭りに、全国から1万人以上のお客さんが遊びに来てくれました。

・HAPPY&COZY!1万人が醸された『こうふはっこうマルシェ』レポート。

ちなみに「こうふはっこうマルシェ」の象徴となるジャズバンドで演奏しているのは、なんと!発酵文化人類学の編集チームのハシモトさん(トランペット)とハヤノさん(ベース)。

今回ここまでの拡がりを生んだのは、ひとえに二人の頑張りがあったからこそ。
本をつくって売るのはチームプレイだ!ありがとう〜!

3万部重版&フランス語版&続編出版決定!

ということで一周年記念を祝うニュースです。以下時系列でお届けします。

2018:ネクスト重版出来。ついに3万部突破!

まだまだ売るぞ!ということで、6刷目の重版出来です。ついに、ついに3万部突破〜!ハシモト担当編集いわく「ぜったい5万部いきます!」、そのボスのソトコトのファウンダー小黒さんいわく「10万部売る!」とのことです。ま…マジですか?

2019:フランス語版出版&フランスツアー!

色んなご縁が重なり、2019年の春に『発酵文化人類学』にフランス語版の出版とフランスツアーのプロジェクトがスタートしました。発酵ワールドの魅力を僕の第二の祖国、フランスにプレゼンしまくってきたいと思います。もちろんパリだけじゃなく地方にも行くよ!

2020:『発酵文化人類学』第二弾は世界編!

そしてそして、第二弾も出版するぞ〜!『発酵文化人類学』のあとがきで予告したように、次の舞台は世界!アジアやヨーロッパなど世界各地の発酵文化をたどりながら「人間にとって食べるとは何か?」「微生物は世界の未来に何をもたらすのか?」というより深い問いを皆様にぶつけたいと思います。

今から編集チーム&版元(木楽舎)に予告しておくよ。
初版は最低2万部!目指せ出版ドリーム〜!!!!

ということで。
『発酵文化人類学』を応援してくれたみんなに御礼です。

目次すらできてないのに事前注文してくれた発酵ラバーのみんな

ニッチすぎる内容&無名な著者にも関わらず本を注文してくれた本屋さん

自分のブログやSNSでオススメしてくれた読者のみんな

出版イベントを誘致してくれた全国55のオーガナイザー

イベントに一緒に登壇してくれた60名超の醸造家&クリエイター

イベントで一緒に盛り上がってくれた各地の参加者のみんな

謎すぎる内容の本を取り上げてくれたメディア関係者

日本全国の土地に根ざしたものづくりを続ける醸造家たち

ほんとうにありがとう。
『発酵文化人類学』はみんなでつくりあげる「贈与の環」です。

一周年記念をこんな素敵なカタチでお伝えできることに無上の喜びを感じています。

…とブログ更新しようとしたら、

ちょ、ちょっと待って!
僕の知らないところでもう企画が始まってる〜!!

著者が先こされてる〜!!!

https://twitter.com/kakijiro/status/989525079074652162

なんだよみんな…

「リアル贈与の環」しれっとやらないでよ…

僕はもう何も言えないし、涙で何も見えない…

ほんとに発酵に出会ってよかった。
微生物がこんなにも素敵な出会いをプレゼントしてくれた。

最後に『発酵文化人類学』のなかでいちばん気に入っているフレーズを引用してエントリーの締めくくりとします。


北から南、西から東。
日本の土地の隅々に人の営みと自然の恵みが結び合わされた多様な文化が息づいている。

「発酵文化人類学」の舞台になるのは、ヒトと自然がおりなす暮らしの芸術の世界。
そしてその舞台の主役は、他ならぬアナタだ。

アナタが手前みそを仕込むたび、また家族と友人と食卓を囲むたび、何千年も受け継がれてきたバトンが次の世代にパスされる。

美しい酒を醸すように、美しい社会を醸していこうぜ。


2018年4月27日 小倉ヒラク記す

 

【追記1】記念企画してくれた灯台下暮らしチーム&くいしん、そしてお祝いのコメントしてくれたみんなありがとう〜!泣けるぜ

【追記2】これから夏くらいまでまた関連イベントやフェアが始まります。全国のオーガナイザーや本屋のみなさま、お世話になります。

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