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「プロ」と「芸人」の違い〜いかに手持ちのカードを切るのか

ソトコトの連載のおかげかブログのおかげか、最近「文章を書いてください」という仕事の依頼が来るようになった。

大変嬉しいことではあるけど「はいよろこんで!」とはいかないのだな(だってほら、僕の本業はデザイナー&微生物研究家だし)。
なので、依頼してくれた人には大変心苦しいけど色々と条件を提示した上で相談させてもらうようにさせているのであるよ。

それはなぜかを説明しつつ「プロ」と「芸人」の違いを考えてみるぜ。

プロは複数のカードから最適なものを選ぶ

なにがしかの対価をもらう仕事には二種類ある。
一つは「プロ」で、もう一つは「芸人」。

何が違うかというと、「カードの切り方」が根本的に違うのだな。
プロは相手の要望や課題にあわせて手持ちのカードから最適なものを選ぶことができる。対して芸人は一枚のカードしか選べない(ただしそのカードはレアカードだったりする)。

でね。
文章を書くヒラクくんは「芸人」なのね。プロの物書きではないのよ。

パートナーの民ちゃんは長年編集をやってきた「プロの物書き」で、彼女の仕事ぶりを見ていると「プロとは何か」がよくわかる。依頼主のオーダーにあわせて文体を変え、取材をコーディネートし、規定通りの文字数に収め…と、大変繊細な仕事をしている。

対して僕は「ブログに書いているような文章」しか書けないし、「ブログに書いているような対象」しか取り扱えない。注文主のオーダーに沿う引き出しがないのであるよ。

翻って、デザインをするヒラクくんは「プロ」と言って差し支えないと思う。
プロジェクトにあわせてデザインのテイストを変えるし、我ながら関心するほど相手の要望をちゃんと聴く。なので、デザインの仕事の依頼に対してはなるべく相手の意向に沿うかたちで引き受ける(最近はちょっと待たせることが多くなってきたけど)。

「プロに発注する」のか「芸人を座敷に呼ぶ」のか。

話を最初に戻すと。

何かしらの原稿を発注するのでも「プロとして頼む」のか「芸人として頼む」のかで全然プロセスが違う。「ここにこんな穴が空いてるんですけど」「なるほど、ではこうやって、ああやって、ほら穴が埋まりました」というのがプロの仕事であり、もしそれを芸人に頼むと「おやおや、見たことのない穴ですな。ではあっしはこのへんで」となり、去っていく芸人の背中を黙って見送ることしかできなくなる(おお、気まずい)。

なので、もし奇特にも「ヒラクくん、何か面白いこと書いてほしいんだけど」と思っている人は、「おっ、これはちょうどヒラクくんのカタチをしているな」という穴を見つけておく必要があるのです。

まあ言うたら「余興に座敷に呼んでやるか」的な感じの発注が間違いないわけさ。
長年文章を書き続けてきた「作家」と違って、僕はかろうじて愛敬で許されている程度の「芸人」なもんで。

(と考えてみると、僕が真に「芸人」的であるのはもしかしたら「司会業」かもしれない。これにはけっこう自信あるよ。どうぞお座敷に呼んでくだせえ)

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