▶デザインを掘り下げる

「あいだ」にある「もの」 その3

話を最初に戻します。

 

情報はただそれだけでは、本人がいくら面白いと思っていても伝わらない、だから「意味」の乗っかる「表現」を作ってあげる。そして、それが花金夕方の居酒屋のカウンターから、「意味」の流通場所であるメディアに乗っかると爆発的に広まり、やがて社会的に流通していきます。

近年注目されている「バイラル」という仕組みの原理も、やはり情報加工→意味化(表現)→メディアに乗せるという非常にベーシックな原理に基づいているといえそうです。

さて、話が色々と飛んで忘れそうになっていましたが、記事のテーマは「あいだ」でした(笑)。

表現が流通する「メディア」も、元は”medium”、媒介、つまり「あいだをとりなすもの」です。ヒラクがいま最も気になっているのは、実際に目で見ることができない「あいだ」という領域です。

まずAという人がいて、すごい風邪薬を作ったとする。これが情報です。ところが昨今新成分なんだとかいう話では全然売れないので、成分を模したキャラクター(アイコン)が風邪を退治するというアニメをつくります(ものがたり)。

これが意味化です。

そして、今度はyou tubeに映像を乗っけるなり、テレビで放映するなりします。こいつが「メディアにのせる」つまり意味の流通です。
このプロジェクトが成功するかどうかは、三つの要素のかけ算になっています。

つまり、
情報の貴重さ×表現の面白さ×メディアの流通規模の大きさ
が基本です。

最近はマーケットやメディアが細分化されているので、これに「選択の適切さ」が加わります。

つまり、しかるべき情報が、しかるべき表現で、しかるべきメディアに乗るか、という問題ですね。

広告の例えでやると何だかやらしいので、宗教にしてみます。

教義の革新性×絵画や教典の出来映え×布教ルートの確保です。

日本に仏教やキリスト教が入ってきたのは、まず教義があり、ものがたりを翻訳したり、アイコンを輸入したりする人がいて、それがシルクロードやらイエズス会の海の果てまで訪れる航海術だったりしました。

宗教と広告の場合、メディアの位置づけが若干変わってきていそうですね。

今だと電波やインターネット網ですが、中世世界では、シルクロードとか、ローマ→イスラエルに至る十字軍の遠征路だとか、地中海航路だとか、熊野古道だったりした感じでしょうか。

こういう便利なルートが、各民族が恐ろしいほど乗り入れして主導権の奪い合いがされていたのは、視聴率の良い番組を巡って大手企業と広告代理店が枠取り合戦を繰り広げていたのと同じような感じなのだと思います。

また話が飛びましたが、何かが伝達されるためには、外へ外へと、あいだからあいだへと「運び出され」て、「加工され続ける」ということが大事なのだと思いました。

誰かの情報が自分の外部に取り出され、誰か、アーティストだか学者だかに表現されて、商人や代理人にあるルートに乗せられて運ばれ続ける。それが長ければ長いほど、遠ければ遠いほど伝達されてゆく。

これは、とっっっっっっても面白い現象なのです。

なぜかというと、ある出元を持った情報が、加工され運ばれるたびに「変形」していくから。仏教はインドから遠くに運ばれ変形し、極東の島国でよくわからないことになっている(笑)。

去年いった雲南省の山奥でも、リス族という少数民族に布教されたキリスト教がよくわからないことになっていました(笑)。ソフトバンクのお父さん犬も携帯電話を離れ、よくわからないことになっています。

よくわからないんだけど、一応仏教だなとかキリスト教だなとかソフトバンクだなとわかる(笑)。よくわからなくなっているということは、相当伝わっていることだとも言えてしまうのです。

とりあえず今夜の結論です。

「伝える」ということは、意味をめぐって情報が、「変形」し続けるということです。

「意味」について僕が最初に考えたのは、「情報を整頓して筋道をつける」ということでしたが、これは序の口。次に「ものがたり、象徴を作る」、ということにも気付きましたが、これは何かを「定着させる」ことではなかったのでした。

何かを表現するということは、遠くへ遠くへと、わたしからあなた、あなたからだれかに向かっての変形が起こりやすい「種」のようなものをつくる、そういうことではないかと考えます。

これって、難しいそうだけどかなりエキサイティングなこと。

さらに、情報がどんどん文脈が変わっていってしまうから、企業の社長さんや担当者さん、あるいは教祖さんにはかなりリスキーな事ですが、それに臆していては、伝わるものも伝わらない。

何かを作っていて面白くてたまらないのは、当初予定されていたものが何だかよくわからない方向へと転がって行くことです。

それは、惰性でなるのではなく、よく考えたり、出会ったり、手や足を動かして行くことによって起こる不思議な作用。ある情報・事柄がまるで意志を持ったように「外へ、外へ!」と叫びながら「あいだ」へと旅を始める瞬間なのです。

というわけで、はやく風邪を直して、あちこち飛び回たいヒラクでした。

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